一次仕込について
麹に仕込水と酵母を加えて、一次もろみを造る作業(一次仕込)に入ります。
一次もろみはクエン酸を測ることで適正に管理されており、一定の品質を保つようにしています。
甕の中に水をいれ、男性2人で甕に麹米を入れる作業を繰り返します。
そして温度調整のために攪拌しながら、1週間弱発酵させます。
京屋のこだわり
京屋酒造での醸造にはすべて天然水が使われています。水源は日南市平野。雨と太陽と土が仕込水、芋、米をもたらし、日南の自然の恵みが京屋酒造の焼酎へと結晶していきます。
さらなるこだわりが甕仕込みです。ステンレスタンクで外部から温度調整をして管理する酒蔵が多い中、一甕800リットルという少量の仕込み方法で天候の変化を敏感に察知し、毎日様子を見ながら一つ一つの甕の状態を調節しています。
ステンレスタンクでの仕込の場合、温度管理のために水でタンクを頻繁に冷却する必要があるのに対し、京屋酒造の甕仕込においては、水での冷却は一度だけです。一度冷却すれば、あとは攪拌するだけで自然に温度管理できるのが、甕仕込の醍醐味です。
この状態で約1週間程度発酵させます。
こうしてできたものが「一次もろみ(醪)」です。この一次もろみに米をいれて仕込めば米焼酎、麦なら麦焼酎、芋なら芋焼酎になります。(詳細は焼酎の種類を参照ください。)
麹の種類について
焼酎で使われる麹には、黒麹・白麹の2種類があります。
ちなみに日本酒で使われる黄麹というものもあり、最近はまれに焼酎にも使われる場合もありますが、京屋酒造では黒・白の2種類を使っています。
白麹や黒麹は生育しながらクエン酸を多く出します。クエン酸が焼酎に悪影響を及ぼす雑菌の増殖を抑えるおかげで、暑い気候でももろみが変質するのを予防することができます。
米が麹によって糖化されると雑菌が繁殖しやすい環境になります。醸造には不要な菌の増殖を防ぎ,一次もろみを健全な状態に保つのが、このクエン酸です。温暖な九州で焼酎をつくるために欠かせない役割を白麹、黒麹は担っているのです。
写真の上が白麹を使った一次もろみ、下が黒麹をつかった一次もろみです。色の違いが一目瞭然です。
色の違いだけでなく、味わいにも違いがあります。黒麹を用いるとしっかりとした骨格を持ち、強くて個性があり、甘みや旨みが前面にでる焼酎ができるのに対し、白麹を用いると軽快でソフトな味わいの上品な焼酎ができます。
京屋酒造では白麹で仕込む焼酎が全焼酎の生産量の6割を占めていますが、焼酎が全国的に定着しはじめる中、皆が焼酎の味わいに慣れてきてより風味が強いものを求める傾向にあり、徐々に黒麹で仕込む製品も増えてきています。